2022.03.09ブログ
お父さん便り【知っておきたい頻尿】

お父さん便り【知っておきたい頻尿】の投稿画像01
お父さん便り【知っておきたい頻尿】の投稿画像02

コロナ渦で殺伐とした世の中になりました。せめて心が和む話題が欲しいなと日々感じています。その中でホッと気持ちが和らぐ話がありました。
2022年2月22日、にゃんにゃんの日ということを知りました。TVでかわいい猫の姿を見ていると今がコロナの渦だというのも忘れて思わず顔がほころびます。
200年先には2222,0222と2が7つ並びます。楽しみにしたいですね。ただ、それまで我が家の猫共も私も元気かどうか不安です???
冗談はさておき、今年はとても寒い日が続きますね。年を取るとおしっこが近くなり夜中に何度もトイレに起きるといった方は結構多いと思います。こういう話は中々相談しにくいので困ってる人も多いと思います。一人で悩まれる前に、頻尿について勉強してみませんか。
尿は体内で腎臓によって作られており、尿管を通って膀胱へと運ばれていきます。膀胱に貯められた尿は300~400mlで一杯になり体外へ排尿されます。
膀胱や尿道は自律神経(交感神経、副交感神経)に支配されています。尿を貯める畜尿機能は交感神経の興奮、尿を排出する排尿機能は副交感神経の興奮で調整されています。この神経のバランスが何らかの原因で狂ってしまうと尿トラブルが起きます。更に排尿機能にはもう1つの大事な神経が存在します。体性神経と呼ばれる末梢神経の一つで、この神経の働きで排尿を我慢出来るわけです。自律神経のみでは膀胱が満タンになれば夜昼構わずどこでもおしっこが出るようになるので非常に困ります。そこでこの神経が活躍するわけです。これが大雑把なおしっこの仕組みです。
本題の頻尿について考えてみましょう。
頻尿とは、膀胱に尿が溜まってなくても、しょっちゅうトイレに行きたくなり、やたら排尿回数が多くなる症状です。通常昼間は4~7回、夜間は0~1回と言われますがこれを上回る場合に頻尿が疑われます。しかし本人にとって生活全般に支障をきたさなければあまり深刻に考えなくてもいいでしょう。問題になるのは、急に我慢できないくらいの尿意を覚え、トイレに行くのが間に合わずに失禁してしまうとか夜中に何べんもトイレに起き、不眠症になるといった様な症状です。
これは'過活動性膀胱(OAB)'と呼ばれ近年注目を浴びてきている病態です。頻尿の中の1疾患である過活動膀胱の症状は、我慢できない尿意(尿意切迫感)、トイレに行くまで我慢できずに漏れてしまう(切迫性尿失禁)、夜間頻尿に代表されます。

原因としましては、老化による膀胱機能の変化、特に骨盤底筋力の低下や前立腺肥大、あるいは脳出血、脳梗塞、パーキンソン病、神経障害等が考えられます。また、膀胱容量の減少(残尿の増加)、尿量の増加(糖尿病、腎臓病、コーヒー、お茶、利尿剤等)、腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎の感染症、更におしっこのことが頭から離れない心因性素因による場合もあります。
女性の方に多い腹圧性尿失禁もあります。とくに40代以上の女性では、咳やくしゃみをした時、或いは重い荷物を抱えた時などお腹に力を入れた際に自分の意志とは無関係に尿漏れを起こしてしまう厄介な症状を呈します。
男性と女性では肉体的な構造が全然違うので、様々な異なった尿トラブルが起きます。男性の尿道は20~25cmの長さがあり、途中で2ヵ所折れ曲がっています。更に前立腺という組織でぐるりと取り巻かれています。又尿道を閉める骨盤底筋群も女性より頑丈です。女性の場合は尿道の長さが3~4cmと短く前立腺もありません。更に尿道はまっすぐそのままで骨盤底筋群は出産に備えて柔軟に出来ており緩み易くなっています。
この事から判るように、男性の場合は尿を出す排尿機能に障害が出やすく、一方女性の場合は尿道を閉じて、尿を貯める畜尿機能に障害が出やすくなっています。

ここからは治療や対策を考えてみましょう。
まずは生活習慣の改善を考えてみましょう。
おしっこを我慢しない。これは感染の予防や、尿漏れの予防になります。
水分の不足や取り過ぎに注意しましょう。水分不足になれば、腎機能の低下、感染症、尿路結石等が起こりやすくなります。しかし過度の水分摂取は、頻尿に拍車をかけます。アルコールやカフェインも取り過ぎないようにしましょう。利尿作用が強いうえに覚醒作用もあります。適度な量の摂取にとどめましょう。
からだを冷やさないようにするのも大事です。寒さにより膀胱が刺激され過敏になり、尿が近くなったり漏れやすくなったりします。特に下半身を冷やしてしまうと全身の血液循環が悪くなり症状を悪化させます。軽い体操や散歩は全身の血行を活発におしっこの出をよくします。
膀胱訓練と骨盤底筋体操も重要です。過活動膀胱や頻尿にはかなり有効です。膀胱訓練は尿意を少しずつ我慢していく訓練法です。長い時間無理して我慢しないでください。気長にやることです。無理すると生活習慣改善に逆行します。骨盤底筋体操は、肛門、尿道や膣を絞めたり緩めたりをする体操で、弱くなった骨盤底筋を鍛えることができます。女性のための訓練です。
治療はやはり薬物療法が中心となります。
副交感神経が興奮すると膀胱が収縮し、尿道括約筋が弛緩します。その結果排尿が促進されます。その際の神経伝達物質はアセチルコリンで、その働きを抑えこむ目的で抗コリン薬を使用します。代表的な薬剤は、ウリトス、ベシケアなどです。最も多く使われている薬ですが
口渇と便秘の副作用があります。また緑内障の方は使えません。そこで登場したのが、交感神経を興奮させ畜尿機能を高める目的で使われるβ3受容体作動薬です。抗コリン薬に比べると副作用が軽減され使いやすくなっています。代表的な薬剤はベタニスです。
頻尿の原因が、細菌感染による膀胱炎や尿道炎の場合は抗菌薬を使用します。古くからある膀胱平滑筋弛緩薬も、副作用が少ない利点があるため効果は薄いですが使われることもあります。代表的な薬剤はブラダロンです。男性の場合は前立腺肥大の治療薬を併用する場合もあります。代表的な薬剤はハルナール、ユリーフ、アボルブです。
新薬もいろいろ出てきていますので治療効果はまだ上がっていくかもしれません。又、頻尿は見方を変えてみるとサプリメントや漢方薬、自然薬がよく効く症状だと思います。体の歪みを直し血流を改善することによって老化で弱っていた筋力や五臓六腑が息を吹き返し、青春時のような若さを取り戻す事が出来るかもしれません。ツボを押さえる指圧や針もいいかもしれません。このように方法はいろいろあります。くよくよ考えず相談してみたらどうですか?

矢鍋 文雄