2022.08.05ブログ
お父さん便り【サル痘について】

お父さん便り【サル痘について】の投稿画像01
お父さん便り【サル痘について】の投稿画像02

猛暑で孵も泣き止む日本列島。
熱中症で救急搬送される患者数が、過去最多との報道を聞くたびにめまいを覚えるこの暑 さです。更に追い打ちをかける様に新型コロナ患者の急拡大、どうなる日本...。 だがこれだけにとどまりません。いま世界中に新型感染症が急増している事をご存じでし ょうか。“サル痘”です。いつ日本へ入ってくるか関係者は戦々恐々としています。 今回はこの耳慣れない“サル痘”について勉強して、少しでも不安を取り除きましょう。

概要
サル痘は 1970年アフリカのザイールで初めてヒトの感染が確認されました。 その後、中央アフリカから西アフリカにかけて流行していました。 アフリカを中心として流行ることが多い病気でしたが、2022年7月現在、アフリカは基よ り北米、南米、ヨーロッパ、オーストラリア、中国等でパンデミックの兆しが見えています。
幸いな事に我が国では、感染が一度も確認されていません。しかし厚労省では各都道府県 に最重点課題の一つとして注意を喚起しています。日本国内に流入するのは、もはや時間の問題と思われます。ちなみにサル痘は4類の感染症に指定されています。

病原体
オルソックスウイルス族のサル痘ウイルスです。

感染経路
このウイルスを保有する齧歯類のネズミやリスが犯人?と言われています。噛まれたり血被などの体液に触れたりする事で人に感染します。更に感染した人から人への感染もあります。接触感染は当然ながら、飛沫感染でも伝播していきますので少し厄介です。類似した症状を示す天然痘に比べると、ヒト同士の感染率は低く、病原性も低いと言われますが、 コロナのように変異を繰り返すうち、いつ強悪なウイルスに変身しないとも限りません。
(天然痘は 1980年 WHO によって天然痘根絶宣言が発表され、この世から消えてなくな りました。その為天然痘ワクチン(種痘)は一切使われなくなりました。) サル痘は、天然痘ワクチンで約85%の発症予防効果があると認められています。つまり天然痘ワクチンを受けた世代(50代後半以上)では感染予防や症状の軽症化が確認されてい ます。その反面、ワクチンを接種して無い世代は無防備なので流行が危惧されます。今の時点で世界の感染者は若い世代が大部分を占めているので非常に心配です。

潜伏期
通常7~14 日、最大で5~21日と言われています。

症状・病状
発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が0~5日程度持続し、発熱から2~3日して皮疹(発 疹)が出現、その皮疹は顔面や四肢に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱や癒皮となります。多くの場合 2~4週間持続し自然軽快するものが大部分です。この際、皮膚病変へ 接触することにより感染する場合が多いようです。治療や介護の際に注意が必要です。 中央アフリカでの致死率は 10%程度ですが米国や欧州では死亡例が報告されていません。つまり、罹患者の健康状態や医療環境で随分変わるようです。免疫低下や免疫不全の方が感染すると重症化や死亡に至る場合が多いようです。又、小児や妊婦の場合も病状が重く なるケースが見られると言われています。
今、欧米を中心に流行しているサル痘は従来とは臨床症状が異なるといった報告があるようです。 

検査・診断
サル痘ウイルスの検出(水疱、膿疱の内用液、血液、生検したリンパ液等) PCR による遺伝子の検出、電子顕微鏡によるウイルスの確認 ウイルスに対する抗体を検出等が行われます。

治療
特異的な治療薬は存在しないので各症状に対して対症療法を行う。

予防
サル痘ワクチンを接種するのが一番ですが、現在ワクチンを生産しているのは唯一デンマ ークの製薬企業パパリアン・ノルディック社1社だけなので供給量が全然不足しています。 日本に回ってくるのは随分先になると思われます。(天然痘ワクチンは普通には存在しません。研究用があるだけなので一般人が摂取することは通常できない事に成っています)。 そうなると感染源を断つしかありません。ラット、リス、サル、チンパンジーなど感染の疑 いのある動物に接触しないことが大事です。(噛まれない。血液に触れない等)特にアフリ カから輸入された動物はペットとして絶対飼わない様にしましょう。 最近ネット上で、サル痘はコロナワクチンの副作用であるなどのデマが飛び交っています が、そういうことは絶対にありません。アストラゼネカ製のワクチンが、チンパンジー由 来のアデノウイルスを使用しているという事から無理やりこじつけた嘘の情報です。
正しい知識を身に着け、心無い人のでたらめな話に一切耳を貸さない様にしましょう。

只、最初にも書きましたが、今はそれほど怖くないウイルスでも変異を繰り返すうちに恐 ろしいウイルスに置き換わる可能性は多分にあると思われます。コロナ同様に予防対策を しっかり行い、感染と変異を防ぎましょう。 この話で皆様の不安解消に少しでも役立てればと思います。 

矢鍋 文雄